【競馬思想002】穴馬ロマンバイアスについて|穴馬を買うことと、期待値を買うことは違う

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穴馬を買いたくなる気持ちは、とてもよくわかります。

人気馬を買って当てるより、誰も見向きもしていない馬を拾って当てた時の方が、自分の実力で馬券を獲った感じがするんですよね。

1人気から入って当たるより、7人気、8人気、あるいは二桁人気を拾って当てた時の方が、強く記憶に残ります。

「そこ買ってたの?」
「よく見つけたね」

そう言われると、やっぱり気持ちいい。

でも、ここに馬券の難しさがあります。

穴馬を買うことと、期待値を買うことは、似ているようで全然違います。

穴馬を買うこと自体が悪いわけではありません。
むしろ、回収率を作るうえで、人気薄を拾う視点はかなり大事です。

ただ、穴馬を買っているつもりで、実際には「穴馬を買っている自分」を買っていることがあります。

ここを間違えると、資金とモチベーションは静かに崩れていきます。

今回のテーマ

穴馬を買うな、ではない。
穴馬を買うなら、その理由を条件に戻せるか? というお話です。

目次

穴馬ロマンバイアスとは何か

私はこれを、穴馬ロマンバイアスと名付けました。

穴馬ロマンバイアスとは、穴馬そのものの期待値ではなく、穴馬を買っている自分の物語に酔ってしまうことです。

たとえば、こういう気持ちです。

穴馬ロマンバイアスに入りやすい感情

自分だけが見つけたと言いたい。
SNSで先出しして称賛されたい。
当たった時に強く見られたい。
人気馬を買う人より上手く見られたい。
大穴を当てた記憶をもう一度味わいたい。
普通の馬券で普通に当てても、自分が当てた感覚が薄い。

正直、このあたりじゃないでしょうか。

競馬をやっていれば、誰にでも多少はあると思います。

だから、これを悪いものとして切り捨てたいわけではありません。

「自分だけが見つけたかもしれない」
「この馬、あるで」

そういう感覚は、競馬の面白さでもあります。

ただ、馬券としては分けて考えたいんです。

馬券を買っているようで、実は承認欲求を買っている。
期待値を追っているようで、実は「自分だけが分かっていた」という未来を買っている。

この状態に入ると、この先の判断が少しずつズレていきます。

その馬が勝ってほしいから買うのでもない。
その馬の条件が本当に噛み合うから買うのでもない。
当たった時の自分が気持ちよさそうだから買っている。

ここまで来ると、穴馬ではなく、自分の物語を買っている状態です。

穴馬は悪くない。でも、ロマンは根拠ではない

まず、穴馬を買うこと自体は悪くありません。

回収率を上げようと思えば、人気薄を拾う視点は必要です。
人気馬だけを買っていると、どうしても配当は薄くなります。

問題は、穴馬を買う理由です。

期待値のある穴馬には、ちゃんと条件があります。

前走内容
着順だけではなく、負け方や位置取り、脚の使い方に見どころがあるか。
条件替わり
距離、馬場、枠、展開が今回噛み合う方向に変わるか。
人気とオッズ
人気より評価できる理由があり、そのうえで買える倍率にあるか。

このあたりが揃って、初めて「買える穴馬」になります。

一方で、穴馬ロマンバイアスに入っている時は、理由が少しズレてます。

「人気がないから面白い」
「来たらデカい」
「誰も言っていない」
「自分だけが気づいている気がする」
「前に大穴を当てた時と似ている」
「SNSで先出ししたら目立つ」
「なんとなく気配がある」

ロマンは、馬券の入口にはなります。
でも、根拠にはなりません。

「なんか気になる」まではいいんです。

そこから前走内容、条件替わり、展開、馬場、枠、騎手、オッズを確認する。
そこまで行けるなら、直感自体は悪くないんです。

でも、「なんか気になる」で止まってしまうなら、それは期待値ではありません。

直感が強い人ほど、穴馬ロマンに飲まれやすい

直感が強い人っていますよね。

数字を見る前に、なんとなく違和感を拾う。
人気馬の危うさに気づく。
誰も見ていない馬に目が行く。
空気や流れの変化を、言葉になる前に感じる。

こういう感性は、競馬ではかなり大事だと思います。

全部をデータだけで説明しようとすると、逆に見落とすものもあります。
競馬は生き物の競走ですし、騎手も人間です。
展開も馬場も、毎回きれいに予定通りには進みません。

だから、直感そのものを否定するつもりはありません。

むしろ、穴馬を拾える人の多くは、最初に何かしらの違和感を持っています。

「この人気は少し低すぎる」
「前走、着順ほど悪くない」
「この条件替わり、意外と合うかもしれない」
「この馬、展開が向けば一気に変わるかもしれない」

こういう感覚は、馬券の入口になります。

ただし、入口で止まると危ないんです。

直感がある。
違和感がある。
気になる馬がいる。

そこまではいい。

問題は、そのあとです。

直感を馬券に変えるために見ること

なぜ気になるのか。
前走のどこを評価しているのか。
今回、何が変わるのか。
展開のどこで浮上するのか。
馬場は合うのか。
枠はいいのか。
騎手は動けるのか。
オッズは買える水準なのか。

ここまで戻せるなら、その直感はかなり強い武器になります。

でも、ここを飛ばして「ワンチャン」だけで片付けてしまうと、直感はただの願望に変わります。

「なんか来そう」
「自分には見えている気がする」
「この馬を買える自分でいたい」
「当たったらかっこいい」

こうなった時、買っているのは期待値ではありません。
穴馬そのものでもありません。

穴馬を買っている自分です。

直感が強い人ほど、ここに入りやすいと思います。

自分の感覚に自信がある。
人と違うものを拾える。
普通の見方では満足できない。
誰も言っていない馬に意味を見つけたくなる。

これは強みでもあります。

ただ、馬券では強みがそのまま弱点になることがあります。

人と違うところを見る力は大事です。
でも、人と違うだけでは期待値になりません。

人気馬を疑う力も大事です。
でも、疑うだけでは馬券になりません。

穴馬を見つける力も大事です。
でも、その馬が来る条件を説明できなければ、再現できません。

ここを間違えると、直感は武器ではなく、都合のいい物語になります。

私自身も、これは気をつけたいところです。

「この馬、あるで」と感じた時ほど、少し立ち止まりたい。

その“あるで”は、条件から来ているのか。
それとも、当たった時の気持ちよさから来ているのか。

この差はかなり大きいです。

直感は否定しない。
でも、直感を根拠の代わりにしない。

穴馬を買う時ほど、この順番を守りたいです。

穴馬を買うな、ではありません。買うなら、その“あるで”を条件に戻せるかを見たいんです。

「理屈だけでは当たらない」という反論について

たぶん、こう思う人もいると思います。

「理屈だけで競馬は当たらない」
「データ通りに決まるなら誰も苦労しない」
「自分の感覚を信じることも大事じゃないか」
「穴馬なんて、最後は直感で拾うものじゃないのか」

これは、その通りです。

競馬は理屈だけでは当たりません。

どれだけ前走内容を見ても、展開を読んでも、馬場を考えても、ハズレるときはハズレます。
馬は生き物ですし、レースは毎回一回きりです。

だから、感覚を全部捨てる必要はありません。

むしろ、感覚があるから気づける馬もいます。

ただし、ここでひとことだけ言うなら、

感覚で気づくことと、感覚だけで買うことは違います。

感覚で気づく。
そこから条件を確認する。
買える理由に変換する。
外れた時に振り返れる形にする。

ここまで行けば、それは馬券の材料になります。

でも、

「気になるから買う」
「来たら気持ちいいから買う」
「自分だけが見つけた気がするから買う」
「信じたいから買う」

ここで止まると、振り返れません。

外れても、何が違ったのか分からない。
当たっても、なぜ当たったのか分からない。
次に同じ判断を使えない。

これが一番もったいないんです。

アルデが大事にしたいのは、感覚を消すことではありません。

感覚を、あとから振り返れる形にすることです。

直感で気づいた馬を、条件で確認する。
気になる理由を、言葉にして残す。
買うなら、どの展開で来るのかまで考える。
外れたら、どこがズレたのかを見る。

そこまでできれば、感覚はかなり強い武器になります。

逆に、そこをしないなら、どれだけ鋭い直感でも、次につながりにくい。

理屈だけでは当たらない。

それは本当にそうです。

でも、理屈に戻せない直感は、長く使うには少し危ういです。

期待値のある穴馬と、ロマンの穴馬

分かりやすく整理すると、こうです。

見方 期待値のある穴馬 ロマンの穴馬
買う理由 条件が噛み合う 来たら気持ちいい
根拠 前走内容、展開、馬場、枠、騎手 雰囲気、直感だけ、過去の記憶
オッズ 人気より評価できるから買う 高配当だから買う
外れた後 どこが違ったか振り返れる 「惜しかった」「次こそ」で終わる
再現性 次回も条件で判断できる 記憶と感情に引っ張られる

この差は大きいです。

期待値のある穴馬は、外れても振り返れます。

展開が思ったより流れなかった。
枠が悪かった。
馬場が合わなかった。
途中進出すると思ったけど、騎手が動かなかった。
前走内容を過大評価していた。

こうやって整理できます。

でも、ロマンで買った穴馬は振り返りにくいです。

「来たらデカかった」
「狙いは悪くなかった」
「次は来る」
「やっぱり夢がある」

これで終わってしまう。

それだと、次の馬券にあまり残りません。

アルデで大事にしたいのは、ここです。

当たったか外れたかだけではなく、次に同じ判断を再現できるか。

穴馬を買うなら、外れた時に振り返れる形で買いたいんです。

SNSは穴馬ロマンを強くする

SNSは便利です。

予想を出せる。
自分の考えを残せる。
当たった時に反応をもらえる。

でも、SNSは穴馬ロマンバイアスを強めることがあります。

特に危ないのは、「当てたい」より「見られたい」が前に出ることです。

自分だけが見つけたと言いたい。
先出ししていたことを証明したい。
他の人が人気馬を買っている中で、違う視点を出したい。
大穴を当てて、上手い人だと思われたい。

この感情が強くなると、馬券の目的がズレます。

本来、馬券は自分の判断で買うものです。
でも、SNSで見せることを前提にすると、資金よりも見栄が前に出ることがあります。

普通に1〜4人気から勝ち馬を探し、6〜9人気で回収を作る。
こういう馬券は、派手ではありません。

でも、実務としてはかなり大事です。

一方で、二桁人気を指名して当てると、目立ちます。
その一撃は強く記憶に残ります。

ただ、そこに再現性がなければ、長くは続きません。

SNSで映える馬券と、長く残る馬券は違う

SNSで称賛される馬券と、長期的に自分の判断を育てる馬券は、必ずしも同じではありません。

大穴的中の記憶は、判断を歪める

人は、大きく当てた記憶を忘れません。

万馬券を取った。
二桁人気を拾った。
誰も言っていない馬を買っていた。

こういう記憶は、かなり強いです。

でも、そこに至るまでに何回外したかは、意外と忘れます。

1回の大穴的中が、何十回分の根拠の薄い穴狙いを正当化してしまう。

これが危ない。

たとえば、過去に超大穴を拾って大きく当てたとします。

その成功体験があると、次からも似たような人気薄を探したくなります。

「この馬もあの時と似ている」
「こういう時に穴が来る」
「今回は匂う」

そう感じることはあります。

でも、その時に必要なのは、記憶ではなく条件です。

本当に前走内容は似ているのか。
今回の展開は噛み合うのか。
馬場は合うのか。
枠は良いのか。
騎手は動けるのか。
オッズは妥当なのか。

ここまで見ないと、ただの思い出馬券になります。

大穴的中の記憶は、馬券の宝物でもあります。
でも、同時に判断を歪める材料にもなります。

あの快感をもう一度味わいたい。
その気持ちが前に出た時ほど、いったん立ち止まった方がいいです。

引き寄せを、馬券の根拠にしない

ここも少し触れておきたいです。

競馬には、直感があります。

長く見ていると、数字だけでは説明しきれない違和感や手触りが出てくることもあります。

「この馬、なんか今回良さそう」
「人気ほど買いたくない」
「妙に条件が噛み合っている」

こういう感覚を、私は否定しません。

むしろ、馬券を買う人間として直感は大事だと思ってます。

ただし、直感は入口です。
根拠の代わりではありません。

ここを間違えると、馬券はスピリチュアルな方向へ寄っていきます。

「信じれば来る」
「引き寄せれば当たる」
「この馬が気になるのはサインだ」
「良い未来をイメージすれば現実になる」
「ネガティブに考えるから外れる」

こういう考え方は、馬券の判断を歪めます。

もちろん、前向きに考えること自体が悪いわけではありません。
自分の直感を大事にすることも、競馬の楽しさのひとつです。

でも、根拠も条件も振り返りもないまま、たまたま当たった不確実性を神格化してしまうと、次の馬券に何も残りません。

当たった時は「引き寄せた」と思う。
外れた時は「信じ方が足りなかった」と思う。

これでは、馬券が振り返れません。

さらに厄介なのは、それを他人に押し付けてしまうことです。

「願えば叶う」
「あなたならできる」
「前向きに考えれば現実は変わる」
「信じていないから当たらない」
「ネガティブだから外れる」

こういう言葉は、一見すると励ましに見えます。

でも、相手の状態や現実的な条件を見ないまま押し付けると、ただの希望の押し売りになります。

引き寄せハラスメントに近いもの

理解より先に希望を押し付けること。
馬券でも同じで、根拠のない前向きさは期待値ではありません。

「来ると信じている」は、買う理由にはなりません。
「自分には見えている気がする」だけでは、再現性がありません。

人間なので、願いたくなることはあります。
応援したくなる馬もいる。
思い入れで買いたくなるレースもある。

それは競馬の楽しさです。

でも、投資として馬券を買うなら、最後は条件に戻る必要があります。

前走内容はどうだったか。
今回の条件替わりは良いのか。
展開の中でどこにいるのか。
馬場は合うのか。
枠は噛み合うのか。
騎手はその馬の良さを出せるのか。
オッズは買える水準なのか。

直感は入口でいい。
でも、根拠は別に置く。

「なんか気になる」
そこから始まってもいいです。

ただ、そのあとに、

「なぜ気になるのか」
「どの条件なら来るのか」
「外れた時に振り返れるのか」

ここまで戻せるか。

戻せるなら、それは馬券の材料になります。
戻せないなら、それはロマンです。

穴馬を買う時ほど、この線引きは大事にしたいです。

穴馬を買うな、ではない

もう一度言います。

穴馬を買うな、という話ではありません。

むしろ、人気薄を評価する力は必要です。
回収率を作るには、人気より条件が噛み合っている馬を拾う必要があります。

ただし、買うべきなのは穴馬ではありません。

人気より条件が噛み合っている馬です。

ここを間違えると、穴馬を買うことが目的になります。

「穴馬だから買う」ではなく、
「条件が噛み合っているのに人気がないから買う」。

この順番です。

人気がないことは、理由ではありません。

理由は、前走内容、条件替わり、展開、馬場、枠、騎手にあります。

オッズは最後に見るものです。

条件がある。
そのうえで人気がない。
だから買える。

この形になっているかどうか。

そこを見たいです。

アルデ式に考えるなら

アルデで大事にしたいのは、「なぜその馬を買うのか」を言葉にして残すことです。

穴馬は、特にそこが問われます。

人気馬なら、能力や実績で説明しやすい。
でも穴馬は違います。

なぜ人気がないのか。
その人気のなさは妥当なのか。
それとも、条件が変わることで市場が見落としているのか。

ここを見ます。

たとえば、6〜9人気の馬。

このあたりは、大穴ではありません。
でも、人気馬と組み合わせると回収を作りやすいゾーンです。

前走で負けて人気を落としている。
でも内容は悪くなかった。
今回、距離・馬場・枠・展開が噛み合う。
ワイドで5倍以上ある。

こういう馬は、買う価値があります。

逆に、12人気、13人気の馬を毎回拾いに行くと、かなり難しくなります。

もちろん来る時は来ます。
でも、そこまで毎回網を広げると、馬券全体が崩れやすい。

だから、10人気以下は基本的には「来たらしょうがない」でいい。

それは冷たい判断ではなく、馬券の設計です。

アルデが見たい穴馬

派手な穴馬ではなく、人気より条件が噛み合っている馬。
買う理由を説明できる馬。
外れても次に残る馬。

そういう馬を、丁寧に拾っていきたいんです。

最後に

穴馬を買うことは悪くありません。

人と違う馬を見ることも、直感で違和感を拾うことも、競馬では大事です。

ただ、その感覚をそのまま馬券にする前に、一度だけ立ち止まりたい。

その穴馬は、条件が噛み合っているから買うのか。
それとも、当たった時の自分が気持ちよさそうだから買うのか。

その直感は、前走内容や展開に戻せるのか。
それとも、「なんとなく」で終わっているのか。

その馬券は、外れた時に振り返れるのか。
それとも、「惜しかった」「次は来る」で終わるのか。

ここを分けるだけで、馬券はかなり変わります。

穴馬を買うな、ではありません。

穴馬を買っている自分に酔わないこと。
そして、買うなら理由を残すこと。

直感は入口でいい。
でも、最後は条件に戻る。

人気より条件が噛み合っている馬を買う。

それが、アルデで大事にしたい穴馬との向き合い方です。

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