Re.startあの時のダービーのように

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夢を見るより、現実を見ないとな。そう思っていた男が、もう一度ダービーに足を止める話です。

僕の名前は森越悠木(モリゴエユウキ)。

どこにでもいる、冴えない社会人だ。

社会人になってから、友達との連絡は少なくなった。

仕事終わりに飲みに行くことも減り、気づけば毎日が「会社と家の往復」だけで終わっていく。

朝、満員電車に押し込まれ、
昼は愛想笑いを浮かべ、
夜は割引シールの貼られた弁当を片手にスマホを眺める。

そんな生活を何年も続けているうちに、昔好きだったものに触れる余裕すらなくなっていた。

――競馬も、そのひとつだった。

数年前の自分は、毎週のように現地に足を運び自らのロジックを構築して馬券を買っていた。

本馬場、パドックで馬を見て、友達と展開を語り合って、たった数分のレースに心を燃やしていた。

皐月賞。

天皇賞。

そして、日本ダービー。

あの歓声。

直線で響く地鳴りみたいな声と緊張感。

外れ馬券すら、なぜか青春みたいだった。

外れ馬券なのに、なぜか記憶には残っている。競馬って、そういう瞬間がありますよね。

でも、だんだん競馬から離れていった。

当たらない馬券。

増えない給料。

削られていく体力。

「夢を見るより、現実見ないとな」

そう思うようになっていた。

いつからだろう。

GⅠの日程すら気にしなくなったのは。

そんなある日だった。

仕事帰り、駅前の居酒屋から聞こえてきたテレビの音。

『――先週のオークスは女性騎手としては初めてのG1制覇の今村聖奈騎手とジュウリョクピエロでした。今週は日本ダービー、有力候補は──』

その言葉に、足が止まった。

懐かしかった。

心の奥で、ずっと消えたと思っていた何かが、少しだけ熱を持った気がした。

家に帰って、久しぶりに競馬アプリを開く。

馬柱を見ても、知らない馬の名前ばかりだ。

それなのに、不思議だった。

ページをスクロールする指だけは、昔みたいに止まらなかった。

「……今年のダービー、面白いじゃん」

誰に言うでもなく呟いたその言葉は、
たぶん、無意識にもう一度走り出したい自分自身への鼓舞。

馬柱を見ているだけなのに、少しだけ昔の自分に戻る。ダービーには、そういう力があるのかもしれません。

人生は上手くいかない。

外れるし、負けるし、報われない。

でも――。

それでも人は、もう一度夢を見る。

競馬が大好きだったあの時の日本ダービーみたいに。

本命D.レーン

時代が違えど結局は外国人笑笑

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